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2009/03/31

コストの考え方

築後20以上を経た西武園遊園地を訪ねました。
ステンレスは現在でも腐食していませんが、鉄は厚く塗装を重ねられボテボテになっていたり、そうでないものは腐食しています。ステンレスの場合、初期費用は鉄より高額ですが、メンテナンス費用、年月を経た状況を見ると、コストパフォーマンスが良いと感じました。

家を建てるとき、ほとんどの方は、コストとの関係でいろいろなことを断念せざるを得なることが多いかと思います。そして、何を譲れないのか考えることになるでしょう。
そのような場合、建物の一生の中で取り替えざるを得なくなるであろう設備機器等のグレードを落としてでも、基本的な部分(構造材、屋根)のための費用は、削らないようにしたいものです。

サビナシルーフ 139

遊園地西駅の屋根に使われているのは亜鉛合金板です。当時としては、高価な材料の一つでした。20年以上経た現在でも、錆が出ていません。

亜鉛合金板は、欧州諸国で100年以上の実績があると聞いたことがあります。それが、生産中止になったと聞き驚いています。中止した理由は・・・もっと良い材料が開発された?・・・何か問題があった?・・・なぜでしょう?金属板の中では、好きな材料だったのですが・・・。


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2009/03/30

さくら

狭山丘陵にある多摩湖は、正式名称を村山貯水池といい、狭山湖(山口貯水池)と共に、都の水源となっており、周辺は桜の名所です。

ここ数日肌寒い日が続いていましたが、明日は暖かくなりそうです。
週末が楽しみ・・・ですね。

西武園遊園地sakura 147

多摩湖の周辺には、池原先生が設計された建物が多くあります。
西武園遊園地の諸施設、掬水亭、西武園ゴルフ場クラブハウス、西武園競輪場。少し離れていますが西武球場。また、少し様子が変わっていますが、遊園地西駅、西武球場駅なども、当初の設計は池原先生です。

掬水亭の最上階の『天外天(てんがいてん)』からは、桜に曇る多摩湖の向こうに、富士山が見えることもあります。♀は、空の色で『時』を感じることができる夕暮れ時の景色が好きです。
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2009/03/27

街で見つけた大工道具

江東区の商店街の歩道で見つけたタイルに大工道具を見つけました。
右上から時計回りに、キセル・チョウナ・?(木組み)・鋸(のこ)です。チョウナは、荒削りした柱などを平らにするために使われました。最近ではほとんど使われることはありませんが、古い民家の柱など古建築に、チョウナで削った跡が見られることがあります。

清澄白河 033

今年は早いと思っていた桜ですが、最近の気温が低いこともあり、長く楽しめそうです。
4月4日の蕎麦打ちの会まで、咲いていてくれるよう祈っています。
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2009/03/27

モチベーションを高める

少し前のBPnetに、佐藤可士和氏の『環境が変われば 人も変わる』という記事がありました。
『環境を整えたら、ものの見方が代わり、モチベーションが高まった。環境がこんなに大きな影響を人に与えるものだということを実感した。』という、言葉から始まっています。

確定申告が終わり10日以上たちますが、仕事のモードに入りきれていないじれったさを感じています。確定申告のために、後回しにしてしまった仕事を優先するという口実で、いまだに机の周りがざわついています。

モチベーションを高めるために、明日は、『身の回りをきれいにする日』にしたいと思います。

早大所沢キャンパス 065

階段の蹴上のパンチングメタルを通過した灯りが、カッティングシートを貼ったガラスに拡散しながら映り込んでいます。建物が使われるようになって気付くこともたくさんあります。


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2009/03/25

時を経た ものたち

事務所の近所に古い倉庫を利用した、古い生活道具などを扱う店舗がオープンしました。
江戸・明治・大正の生活道具、古美術品、着物、茶道具等と並んで、古い家からはずしたガラスの扉、蔵の扉、照明器具なども置いています。
それぞれが、きちんと作ってあるため、今でもそのまま使うこともできます。古いので求めやすい価格かというとそうでも無いようです。しかし、これを新しく作るとなると、大変な費用になるに違いありません。

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店舗になっている古い倉庫の窓です。窓の木枠と、外に取り付けられている格子、それぞれが重なり美しいシルエットを作り出しています。

一張りの障子の中で、組子(くみこ 枠の中に組まれる木のこと)の見付け寸法を変えてみると、いつもと違った美しさを発見することができるかも知れません。
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2009/03/25

学校の現場で

3月24日の朝日新聞に、『学校事故対策示す 文科省会議』 と言う小さな記事がありました。
昨年、学校の屋上の天窓に乗った男児が転落死しました。それをきっかけに、建築家・校長・教育学者が参加した、学校施設の事故対策をまとめた文科省会議の報告書がまとまったようです。

記事に記載されている報告案の、「曲がり角など廊下の見通しの悪い場所には鏡を」には驚き、「長い廊下の突き当りには緩衝材を」に至っては・・・。
これで本当に良いのでしょうか?

規制緩和という流れの中で、建築に関しては規制が多くなっているような気がします。また、建築の法規が変わるかもしれません。

早大所沢キャンパス 064

窓ガラスに、すりガラスのように見えるカッティングシートを貼りました。うっすらと見える外に植えられた植物と、その影が美しく映えています。早稲田大学所沢キャンパス100号館研究室棟のWCです。癒されます。

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2009/03/23

『まあいいか』で後悔

最近、『まあいいか』と言って、イカ(真イカ)の着ぐるみを着た人が登場するCMが放映されてるようです。何のCMなのか憶えていませんが、心に残っています。

『まあいいか』で進めた仕事は、必ず失敗するような気がします。
後悔しないためには、どれだけ『まあいいか』を無くすことができるかということかも知れません。

諸葛菜 004

気がつけば、紫色のハナダイコンが咲く季節になっていました。かつて通勤に使っていた西武池袋線の沿線にも、咲き乱れていたことを思い出します。


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2009/03/20

『貫』

東京の下町の住宅の建て方を見せていただきました。準防火地域に指定されており、屋根・外壁を防火構造にする必要がある場所です。最近では、そのような場所の木造住宅は、不燃のセメント系もしくは金属系の材料で覆ってしまうことが多いのですが、この住宅は、外部に木の柱・梁を見せ、土壁で仕上げると伺いました。そのために、柱・梁に使われる木材は、燃えて炭化する部分(燃えしろ)を見込むため通常の部材より大きい断面になります。

また土壁にするため、『貫』(柱に通し、くさびで止める横架材)を使った構法です。壁を固めて地震に対応する筋かい、合板とは違い、変形することで地震のエネルギーを吸収すると言う考え方です。神社、仏閣、民家の壁の下地などで、広く用いられてきた日本の伝統的な構法です。

将来的には、漆喰の白と経年変化でグレーがかった木の色の美しい建物になるに違いありません。

建方 清澄白河貫 013

4月の上旬には、土壁の下地となる竹小舞が掻(か)かれるようです。(竹をしゅろ縄などで格子状に組むことを言います。関東では、竹小舞を掻(か)く専門の職人がおらず、この現場では、左官屋さんの仕事になると話されていました。また、器用であれば素人でもできる仕事なので、難しくない場所では、クライアントにやってもらうこともあると伺いました。



建築 | Comments(0) | Trackback(0)
2009/03/18

壁紙を選ぶ場合

サンプルを依頼していたメーカーから、金色の壁紙が届いて驚きました。
インテリアのコーディネートに興味を持っておられるクライアントが、選ばれた中の一枚です。しかし、住宅に金色・・・。クライアントに品番を聞いて、こちらでメーカーに依頼したものです。
結果は、メーカー側の品番の読み間違いで、再度届けてもらうことになりました。

内装材を選ぶ場合、こちらで選んで提案する場合もありますが、クライアントに選んでいただく場合もあります。その際は、クライアントに選んでいただいたサンプルと、私どもで選んだもの数点を含め検討を重ねることになります。

早大所沢キャンパス 069

早稲田大学所沢キャンパスの研究室棟のWCは階段の下が出入り口です。
暗くなりがちな場所ですが、突き当りの壁を明るい色にすることで、気持ちの良く入ることができます。

壁の一面を、他と違う壁紙に変えても同じグレードの壁紙を使えば費用は変わらないので、空間のアクセントとして楽しむことができます。
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2009/03/17

メンテナンス

久しぶりに早稲田大学所沢キャンパスを訪れました。延べ面積約28,800㎡のキャンパスは建築工期1年という厳しい条件の下で行われました。
工期を短縮するために、通常より早くコンクリート強度が期待できる超早強コンクリートが使われました。そのためでしょう、竣工後早い時期からコンクリートの収縮クラックに悩まされました。

早大所沢キャンパス 029

池原事務所退職後、引き続き手がけさせていただいた『早稲田大学所沢キャンパス100号館研究室棟』も撮影することができました。

外壁には、庇も兼ねる窓ガラスのメンテナンス用のグレーチングがデザインされています。
グレーチングを受けているH鋼の柱の基礎には、基礎の天端・垂直面が汚れないよう、雨水を誘導するための溝を切っています。



建築 | Comments(0) | Trackback(0)
2009/03/16

暖かい日差し

春の暖かい日差しがうれしいこの頃です。部屋の奥まで入って欲しいと思います。
しかし、夏になると日差しをさえぎる影が欲しくなります。

日本の家屋では庇(ひさし)が大切な役割を持っています。
冬はその出が気にならない庇が、太陽の高度が高い夏には日差しをさえぎり影を作ります。
また、少々の雨であれば、窓を開けても大丈夫です。

四季のある日本で暮らすための、古人の工夫です。
さらに、日本家屋に庇があることで、建物に奥行きが感じられ、美しいデザインとなっているような気がします。

早春木蓮 005

木蓮の白い花も美しいものです。花は、桜より少し早く咲きます。

大きな蕾の先は北を指すので、『コンパス プラント』とか、『磁石の木』とも言われるようです。蕾が暖かみを増した春の日差しを受け、南側が膨れるためとのことです。(「膨れるため」と本にありましたが、暖かい南側の細胞が北側に比べ、早く大きく成長するのかな?と勝手に考えています。)
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2009/03/14

日々のできごと

戸建て住宅のリノベーション工事で、竣工時の図面を元に設計をしましたが、解体したところ、図面とは異なる位置に構造上重要な柱・壁が入っていました。クライアントが考えていた住まい方に、大きく影響するような柱・壁です。
連絡を受け、設計どおりの空間にするために、撤去ができるかどうか、その場合どのように補強するのか、工務店担当者と大工さんも交え相談し、さらに事務所に戻り構造上大丈夫であることを確認したうえで工事を進めることにしました。

リノベーション工事を受注した工務店と大工さんは、これからこの住宅の面倒を見ることになります。計算上は、撤去しても影響ないとされる柱・壁でも、工務店・大工さんが難しいと判断した場合は、経験を優先させたいと考えています。

早春桜 003

冷たい雨の日でしたが、一雨ごとに桜の花芽が大きくなっています。

今日の午前中は公民館で『男の料理教室 蕎麦打ち』のお手伝い・・・の予定でしたが、急な打合せのため抜けさせていただきました。戻ったら、美味しい蕎麦が打ちあがったところで、しっかりとご馳走になってしまいました。

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2009/03/12

改修 レバーハンドル 2

扉に握り玉を取り付ける場合と、レバーハンドルを取り付ける場合では、使い良い高さは違ってきます。握り玉は、ひじを曲げたあたり、おへその位置が使い良いといわれます。レバーハンドルの場合は、もう少し上のほうが使い良いようです。

扉を見てください。汚れていませんか?
汚れた位置は、みんなが触る位置です。汚れが著しいようであれば、握り玉・レバーハンドルの位置が使い良い高さでないことが考えられます。

ume 001

陽だまりは暖かいのですが、まだ風は冷たく感じます。




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2009/03/11

改修 レバーハンドル

扉の左右のどちらかを軸に、弧を描くように動く扉を『開き戸』と言います。自動ドアで無い限り、開閉のために押したり引いたりするための金物が取り付けられます。
かつては握り玉(ノブ)がほとんどでしたが、最近ではレバーハンドルにすることが多くなりました。(ペットの猫が飛びついてあけてしまうことがある、袖口が引っかかるのが気になるなどのお話もありますが。)

先日、握り玉をレバーハンドルに替えたいと相談を受けました。
扉の金物を選ぶ場合、気にしなければならない寸法が何箇所かありますが、それが同じであれば、さして難しいことではないだろうと考えていました。しかし、金物の交換だけでは済まず、埋め木など扉の加工が必要になる工事でした。

280弘前青銀記念館

国の重要文化財に指定されている弘前の青森銀行記念館の握り玉です。交換されたのでしょうか、ベースプレートをはずした跡が残っています。

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2009/03/10

見つけた春

日中は、ジャケットの下にTシャツ一枚でOKというくらい暖かい日でした。
確定申告のための準備もほぼ終わったので、近くの彩の森入間公園へ春を探しに行ってきました。

彩の森早春 009

見つけた春は、水辺で遊ぶ子どもでした。
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2009/03/09

設計にあたり思うこと

設計のための時間が欲しいと思うことがしばしばです。クライアントが何を求めているのか、もう少し聞きたいと思うことが少なくありません。

設計を依頼される場合、予算はこのくらいで、このくらいの部屋が欲しいという要望が多いのですが、本当に知りたいことは、何を大切にし、どのように暮らしたいかと言うことです。
クライアントの要望はさまざまです。『家に求めるもの』が違ってくると、仕上げ・形が変わるのが当然です。金額と言う大きな前提は、なかなか崩すことは難しく、可能な範囲で、何を大切にするのかということを共有できていないと、納得していただけるような設計ができないような気がしています。

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江戸東京博物館に常設展示されている『江戸の町』の模型写真です。
近くの山の木・土で作られた家々は、材料・形とも共通な点が多く、統一感のある町並みが形成されています。
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2009/03/06

時計

最近は、事務所に泊まることも多く『時計の目覚まし機能』には、お世話になっています。
無印良品で求めたものですが、数字など、シンプルなデザインが気に入っています。

先日、アラームが鳴る前に目覚め、時間を確かめるために時計を見ました。暗がりで見た時間は、起きるつもりの時間を大幅に過ぎており、あわてて起きました。
しかし、まだ暗いのです。見直すと、まだ早い時間でした。

時計 002

この時計、もう少しで5時15分ですが、寝ぼけた目で、時計を手にとって見ると、8時30分にも、11時45分にも、2時にも見えます。
そのようなこともあり、これは『時計』であって、アラームの機能はあくまでもサービスなのだと、少しさめた目で見ています。

小さな目覚まし時計は、暗がりで手に取って見ることも多いかと思います。
長方形の方が、上下がわかりやすく、より『ユニバーサルデザイン(誰にでも優しくわかりやすいデザイン)』と言えるかもしれないと思っています。



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2009/03/05

反り 高倉寺観音堂 2

爽やかな、気持ちのよいお天気でした。
手がけている住宅の改修は、そろそろ外回りに入ります。これまで以上に、天候が気になります。

入間市の高倉寺観音堂には、十一面観音菩薩が安置されており、年に一回、4月の第2日曜日に公開されるようです。

高倉寺 008

まず、近隣ではあまり見かけないくらい反りの大きい屋根が目に付きます。宋から仏教と共に伝来した様式の特徴の一つで、『禅宗様』又は『唐様』ともいわれます。当初は、茅葺だったようですが、現在は茅葺形銅版葺と案内板にありました。
茅葺だった頃の形に似せて、銅版で屋根を作ったということでしょう。しかし、金属板の一般的な納まりではすることが無い屋根の厚みの表現に、少し戸惑います。


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2009/03/04

見つけたこと

宮大工の棟梁が書いた本の中に、『鋸(のこ)』を見つけました。

読み終わり、奥付の前のページに、ギザギザがあることに気がつきました。図書館の本だったので、一瞬、心無い人が・・・と思いましたが、これは、『大工の棟梁が書いた本』です。
『鋸』・・・を発見し、少しばかり得意になっています。

本奥付 012

カバーの後ろの見返しには、千葉県市川の法華経寺祖師堂の現場で、工事を請け負った清水建設の作業着(これも、発見の一つ。清水建設に依頼を受け、修理に参加したのかと・・・。)を着た松浦さんの写真が載っています。

読んで、とても満足した本だったので、装丁も含めて、じっくり見ました。
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2009/03/03

扇垂木 高倉寺観音堂

三月は、あわただしく落ち着かない日が多いような気がしています。
そのような時に限って、掃除をしたくなったり、積んであった本を読みたくなったりします。

丁度読み終えた本の、入間市の高倉寺観音堂の修理工事のエピソードに、どうしても見てみたくなり、雨の合い間に行ってきました。
車で、7分。毎年、大晦日には除夜の鐘を聞いていましたが、行くのは初めてです。
観音堂は、室町時代の建物で重要文化財に指定されています。

高倉寺 019

高倉寺観音堂は、三間四方のお堂です。
軒裏に見える放射状の扇垂木が、優美ともいえるくらい繊細で美しいと思いました。
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2009/03/02

山の空気

久しぶりに青空が見え、花粉の飛散する量が多いと、報じられていました。

マスクをし、藁にもすがる気持ちで、アース製薬の『花粉 鼻にぬってトール』を試し、一日4~6回というアレルギー専用の点眼薬を手放せません。ティッシュの消費量の多いこと!

しかし、当然花粉が多いと思われる田舎では、不思議なことに呼吸が楽になるような気がします。田舎の、しっとりとした空気が気持ち良いのは、♀だけでしょうか?

梅落花 008

お天気が良いので外に出ると、梅が散り始めていました。家紋のような、落花です。


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