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2020/05/27

西武園ゆうえんち-10 池原事務所での仕事

4期工事の中でメインになるのがメリーゴーランドでした。
西武が保有するメリーゴーランドは豊島園に有名な「エルドラド」がありました。
古典調のスタイルで文化財に匹敵する貴重な遊戯物です。
それで西武園遊園地では現代的で幻想的なスタイルにしようと提案しました。

このメリーゴーランドには後日談があります。
完成して数年後、東京ディズニーランドを運営する会社から「東京ディズニーランドで西武園遊園地のメリーゴーランドの意匠を無料で使いたい。」と電話がありました。
先生の著作権もあり当然お断りしました。

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何といっても難しかったのがメリーゴーランドの屋根です。

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それぞれの梁のラインはらせん状に頂点に上昇していきますが展開すると一本の直線になります。
これを図面化するのがまず大変でした。
三次元のらせん曲線を二次元に展開していくわけです。
若いスタッフが先生に何度も厳しい指導を受けながら設計図を書き直していきました。
(池原先生は図学に大変詳しく知識も豊富でした。ノートにびっしりと曲線や立体の解説されたものを遺品として拝見しました。)
屋根のらせん状の梁に取り付けられたのは透明なポリカーボネート板です。施工図や施工も大変でした。
鉄骨工事は結局、造船会社しか引き受け手がありませんでした。
紙細工のように梁プレートに切り込みを入れ落とし込んで立体にする工法です。
構造はシェル構造を得意とされた早稲田の田中先生にお願いしました。

またメリーゴーランドの馬の人形は既成の輸入品ですが、センターの回転タワーや馬車型の乗り物は研究室の設計です。



センターの回転軸は平面のミラーで構成し万華鏡の効果を狙いました。

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2020/05/25

西武園ゆうえんち-9 池原事務所での仕事

池原先生は「遊園地設計はバーチャルで実態が無く、ただ形だけなところがおもしろい。」とますます精力をそそがれるようになりました。
御自身も、「僕はよく変わったと言われるるんですが、そのきっかけは遊園地の設計だと思います」と対談で話されています。

窓をショウウインドウにして中に飾る物もデパートなど実物を選び、調達してもらいました。

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デパートで調達した西洋の焼き物人形を要所要所に設置しました。
アクセントとしての飾りであり、それを太陽とともに動く影絵として壁に投影することも演出しています。

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4期の竣工後、メリーゴーランドの試運転を見学している先生や西武関係者。
我々は周りを緊張して囲んで見守っていますが、
お施主さんやお客さんに喜んでいただけるのが一番うれしく感じ、苦労が報われます。

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2020/05/24

西武園ゆうえんち-8 池原事務所での仕事

1985年の4期は大規模計画となりました。

1980年代半ばになると仕事量も増え、徐々に個人助手(後に会社所員)も増えていきました。
遊園地のデザインの方針がほぼ決まりつつありましたので、基本設計で大まかなことを先生に承認していただき、実施設計は若いスタッフが引き継いでいくことにしました。
先生はデザインの妥協がありませんので、工期が厳しくなるとスタッフ全員で応援する体制でした。

下は基本設計で作成した4期計画の模型の一部分。

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施工途中、コンクリート躯体が建ち上がりましたが遊園地で重要な外装、内装のデザインの詳細がなかなか決まらず大変な状況になりました。
現場監理段階でも意匠設計は本当にぎりぎりまでねばり、検討、変更があるのががあたりまえの世界の研究室、事務所でした。(早稲田大学の研究室から設計事務所で設計活動を移行した時期です。)
施工段階で詳細図作成、青図の上に色彩計画をどんどん描いていきました。

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メリーゴーランドを囲むテイクアクトの売店です。
これは後の早稲田大学所沢キャンパスの学生食堂のデザインに一部抑制された形で引き継がれました。
遊園地を設計することで建築はストイックなものだけでなく楽しい要素があっても良いのでは認識するようになりました。

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2020/05/23

西武園ゆうえんち-7 池原事務所での仕事

遊戯施設コーヒーカップの操作室です。
パイプのフレームをアクリル板で囲っています。
屋根に[てり](反った屋根の反りのことです。建築用語ですみません。)
をつけ中に日よけテントを張っています。
近代建築の精神からすると装飾は悪だと教育されてきましたが、ここでは許されると割り切りました。

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コーヒーカップのテーブル中央の照明器具。
アクリルケースにミラーボールと小さな人形を入れてます。
夜はこれに周辺の斜面から投光しカップの回転に合わせて光の点が周囲の斜面を巡ります。

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研究室での遊園地のデザインは夜の照明計画を特に重視しました。
おいしいお酒が飲める場所をたくさん作ろうと。

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2020/05/22

西武園ゆうえんち-6 池原事務所での仕事

1983年の3期めは遊戯施設、コーヒーカップでした。

日本で作る遊戯施設なのでカップのデザインから操作室、照明器具などすべて一から設計を任されました。
3期目あたりから自ら楽しみながら自由に遊園地デザインができるようになったと思います。
もちろん厳しい制約の中でですが。

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遊園地初期の施設がちょうど小さな円形劇場のように残っていました。
この周辺の環境を生かして花に包まれたきれいなコーヒーカップを置くことを提案しました。

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このコーヒーカップの図面を描いていると先生がそんな姿のコーヒーカップはないだろうと却下されましたが、翌日「自宅にそっくりな高級コーヒー(紅茶)カップがあった。」と図面の承認をしていただきました。
偶然、似た姿の高級カップがあり助かりましたが、私は貧乏育ちで高級品にはまったく縁がありませんでした。
遊園地という憧れをテーマするからには自分の生活の範囲だけでは無理でもっと勉強が必要だと痛感しました。

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